ケインズインターナショナル事件(平4・9・30東京地判) 入社1カ月後の退職者へ債務不履行での損害賠償請求は?

1993.04.05 【判決日:1992.09.30】
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信義則適用し賠償額を限定

筆者:弁護士 山田 靖紀(経営法曹会議)

事案の概要

 X社は、インテリアデザインの企画設計等を中心に営業しており、平成2年5月当時の従業員は全員が女性であったが、その頃、甲社との間で、乙ビルリニューアル工事に関し、報酬1カ月60万円、期間2年間とする事務室の移転計画設計業務等のインテリアデザイン契約を締結した。X社は、その際、甲社より右業務を男性社員に担当させることを要求されたので、同月28日、Yを甲社との右契約を担当する社員として、そのことを十分に説明した上で、給与月額20万円(交通費、超過勤務手当別)の条件で雇用した。ところが、Yは、同年6月4日頃、病気を理由に欠勤し、結局、X社を辞めてしまったため、X社には男性社員がいなくなり甲社との右契約が駄目(解約)になってしまい、少なくとも同年11月以降月額60万円の割合の収入を失った。そこで、X社はYに対し、X社の蒙った損害3000万円のうち、Yが支払いを約束した200万円の支払いを求める訴訟を提起した。

判決のポイント

 Yは、X社を退職したことについては、試用期間中であってYからの解約は自由であり、また、病気という止むをえない事由があったから、…

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平成5年4月5日第1955号10面 掲載
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