横浜市事件(平5・1・27東京高判) 保母の業務が頚肩腕症候群発症の有力な原因となるか
1993.07.05
【判決日:1993.01.27】
蓋然性高いとはいえない
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
原告(被控訴人)は昭和43年4月から被告(控訴人)横浜市の経営する保育園に保母として勤務していたが、昭和45年9月頃から肩と背中に痛みを時々感じ、昭和47年4月頃からは、それに加えて右腕、肘の痛みが激しくなり、病院で頸肩腕障害と診断を受けた。そこで、Xは、右障害は保母の業務に起因したものであり、市は安全配慮義務を怠ったとして、1000万円の慰謝料を求めて、横浜地裁に提訴した。
第一審の横浜地裁(平成元年5月23日判決)は、Xの本件障害は保母業務に起因して発生したものであり、市には、保母の健康障害の発生を防止すべき義務違反と、Xの病状の増悪を防止し健康の回復を図るための義務違反があったとして、市に200万円の慰謝料の支払いを命じた。
そこで、市は東京高裁に控訴に及び、Xも慰謝料額に不満として附帯控訴に及んだ。
判決のポイント
1、Xの本件症状(頸肩腕症候群)が保母の業務との間に相当因果関係が肯定されるためには、諸段の事情を基礎に、具体的個別的に判断されるべきであるが、…
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平成5年7月5日第1967号10面 掲載