太陽鉄工事件(平4・12・21東京地判) 試用期間中の勤務態度・能力に問題あり、普通解雇は
1993.08.02
【判決日:1992.12.21】
適格性なく、合理性ある
筆者:弁護士 加茂 善仁(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、Y会社に中途採用され、営業社員として勤務を開始した。
Y会社の就業規則には、試用期間に関し「試用期間は6カ月間とする」とし、「試用期間中、採用不適当と認めた場合は採用を取り消す」との定めがあるが、実際の取り扱いは、右試用期間経過前後に本人に本採用審査に関する論文を提出させた上、本採用の可否が決定されていた。
Xは、試用期間中、客先からクレームをつけられたり、上司・同僚からも孤立した状況になっていたため、Y会社は本採用延長の措置を取り様子を見ることとした。しかし、その後もXについて客先からのクレーム・トラブルが多発し、直属上司に対しては反抗的になり同僚も敬遠して融和が図れない状態が続き、人事本部長との面談においても、直属上司を非難し、以降、ほとんど出勤しなかった。
そこでY会社は、就業規則の定めに従いXの本採用を取り消す旨(解雇)の意思表示をした。なお、Y会社は、本件解雇にあたり、就業規則の通常解雇事由を定める条項も適用している。そこでXが本件解雇の無効を主張し提訴した。
判決のポイント
XはY会社の指導がまずかったために原告のような態度が惹起されたと主張するかのようであるが、直属上司の指導がXの性格的特質に照らし最適であったかどうかはともかく、不当な挑発行為であるなどといえない。…
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平成5年8月2日第1971号10面 掲載