リバーサイド事件(東京高判令4・7・7) シフト希望出さず欠勤、就労意思なく退職扱い 賃金バックペイ一部命じる
シフトの希望日を出さず欠勤し続けたため、退職扱いとされた従業員から地位確認等を求められた事案。就労の意思を欠くとして請求を退けた一審に対し東京高裁は、合意退職の成立を否定したうえで、会社は団交で復職の意思を認識しながらアルバイトを採用していて就労可能だったとして、不就労を使用者の責に帰すべき事由と判断。コロナ禍を勘案して賃金を算出した。
休業は使用者責任 復職を求めて団交
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、Yと期間の定めのないアルバイト契約を締結し、寿司店に勤務していたが、勤務日および勤務時間は「シフト表により定める」とされていた。シフトは、各自が予め希望日を提示し、店長がこれに基づいて決定していたが、平成31年1月以降、Xの希望日は激減し、Xが3月13日以降のシフトを提出せず、その後出勤しなかったため、YはXに4月下旬、社会保険等の資格喪失手続きを開始する旨通知し、7月頃に3月31日付で退職処理した旨通知した。
Xは、退職の意思表示をしていないにもかかわらず、Yが合意退職扱いをし、労務の受領を拒絶している旨主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、労務の受領拒絶後の賃金の支払いを求めて提訴した。一審(東京地判令3・3・30)は、合意退職は認められないとして地位確認は認容したものの、Xが出勤しなくなって1カ月近く連絡もせず、今は休むと述べて、問われても復職時期を明確にしなかったことなどから、Xに就労の意思があったと認められず、就労しなかったのはYの責めに帰すべき事由によるものではないとして賃金請求を棄却した。
本件控訴審でも地位確認が認められ、また、賃金請求を全部棄却した原判決は一部失当として、令和2年4月以降の賃金請求を認容した。
判決のポイント
1 合意退職の成否
Xの退職の意思表示については…
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