五島育英会事件(平5・3・19東京地判) いわゆる労働慣行が認められ法的拘束力を持つ要件は
1993.09.27
【判決日:1993.03.19】
反復継続など3要件が必要
筆者:弁護士 安西 愈(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、事務職員と位置づけられている私立の中・高等学校の養護職員をめぐる休日に関するいわゆる労働慣行の成否の問題である。
すなわち原告である右職員は、同校の中学校の夏期学校に生徒を引率出張し、帰着したが、その帰着日の翌日に出勤しなかったところ、被告学校側が、原告に対し、右を欠勤としその年の12月期の賞与について、右同日の欠勤を理由に5000円を控除して支給した。そこで原告は、宿泊を伴う校外学習に引率出張した場合の帰着日の翌日を休日とすることは、合意あるいは民法92条の慣行が成立したことにより労働契約の内容になっているから、被告の右措置は違反であると主張して、被告に対し右控除額5000円の支払いを求めたものである。
判決のポイント
本件の争点である休日とする旨の労働慣行の成否について裁判所は、次のように判示した。
原告採用後、民法92条の法的効力を有する慣行が成立し、…
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平成5年9月27日第1978号10面 掲載