長門市・長門消防局事件(最三小判令4・9・13) 部下への暴行罪で罰金命令、免職処分重すぎ!? 適格性を欠き改善余地なし ★

2023.04.20 【判決日:2022.09.13】
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 部下に対する暴行罪で罰金の略式命令を受けた消防士が、分限免職処分を不服として争った事案の上告審。処分を取り消した原審に対し最高裁は、公務員として適格性を欠き、性格は矯正できず改善の余地なしとみることも不合理とはいえないと判示。暴行は消防職員の約半数に5年超繰り返されていた。報復を示唆する言動もあり、組織内に配置して適正な運営は困難とした。

性格矯正できない 適正な配置困難で

筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)

事案の概要

 消防職員であった被上告人は、任命権者である長門市消防長から、地方公務員法28条1項3号等の規定に基づき分限免職処分を受けたのを不服として、その取消しを求めた。

 被上告人は、平成6年4月に消防職員として上告人に採用され、同25年4月から小隊の分隊長を務めるなどし、同29年4月からは小隊長を務めていた。被上告人は、平成20年4月から同29年7月までの間、消防職員約70人のうち、部下等の立場にあった約30人に対し、おおむね一審(山口地判令3・4・14)別紙「パワハラ行為一覧表(時系列)」記載のとおりの約80件の本件各行為をした。

 上告人の調査によれば、本件各行為の対象となった消防職員らのうち、被上告人が自宅待機から復帰した後の報復を懸念する者が16人、被上告人と同じ小隊に属することを拒否する者が17人に上った。

 消防長は、長門市職員分限懲戒審査会における調査および審議を踏まえた上で、平成29年8月付けで、被上告人に対し、消防職員としての資質を欠き改善の余地がなく、本件各行為による上告人の消防組織全体への影響が大きいなどとして、本件処分をした。

 被上告人は、平成30年1月、本件各行為の一部について、暴行罪により罰金20万円の略式命令を受けた。

 一審は、本件処分を取り消し、控訴審(広島高判令3・9・30)も一審判決を維持した。

判決のポイント

 地方公務員法28条に基づく分限処分については、…

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令和5年4月24日第3398号14面 掲載
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