新宿労基署長事件(平3・5・27東京高裁) 高血圧症者が業務上に
1992.02.10
【判決日:1991.05.27】
問われた“健康配慮義務”
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Aは、D印刷会社に昭和43年1月27日から同50年1月28日までは印刷工として、同年同月29日から同52年2月14日まではロッカー室管理人として勤務していたが、その勤務形態は、いずれも深夜勤務を含む交代制勤務であった。同人は従前から高血圧症に罹患していたが、それが増悪し2月14日に橋脳出血により死亡した。Aの妻Xは、Aの死亡は業務上のものであるとして、Y(労働基準監督署)に対し、労働者災害補償保険法に基づき遺族補償給付を申請したが、YはAの死亡につき業務起因性を否定して給付をしない旨決定した。そこで、XがYの右処分の取消しを請求して、東京地方裁判所に提訴したが、東京地裁も、Aの死亡につき業務起因性を否認してXの請求を棄却した(昭62・12・22判決)。そのためXが控訴したのが本件訴訟である。
判決のポイント
本件のポイントは、高血圧症の基礎疾病を有する労働者が印刷業務とロッカー室管理業務に従事していたが、…
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平成4年2月10日第1900号10面 掲載