岩手銀行事件(仙台高判平4・1・10) 夫婦共働きと家族手当 ★
1992.04.13
【判決日:1992.01.10】
男子にのみ支給は無効
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
銀行の給与規程では、
「扶養親族を有する世帯主たる行員に対しては、別表基準により家族手当を支給する」(36条1項)
「世帯主たる行員とは、自己の収入をもって、一家の生計を維持する者をいい、その配偶者が所得税法に規程されている扶養控除対象限度額を超える所得を有する場合は、夫たる行員とする」(36条2項本文)
「配偶者もしくは子を扶養して世帯を構成している行員に対し、別表基準により世帯子当を支給する」(39条の2第1項)
等と規程していた。
女子行員Aは、家族手当及び世帯手当の支給を受けていたが、Aの夫が昭和54年12月市議会議員に当選し、昭和55年1月以降議員報酬を受けるようになったため、銀行は、夫に限度額を超える所得があることを理由として右手当等を支給しなくなった。
Aの昭和55年度の給与額は577万余円、夫の同年度の議員報酬は279万余円であった。
Aが右両手当の支給及びそれに基づく賞与の差額の支払いを求めて提訴したところ、一審の盛岡地裁昭60・3・28判決は、Aの請求を認容した。本件は、その控訴審判決である。
判決のポイント
控訴人銀行は本件規程36条2項本文後段を根拠にして、男子行員に対しては、妻に収入(所得税法上の扶養控除対象限度額を超える所得)があっても、…
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平成4年4月13日第1908号10面 掲載