沼津セクシャルハラスメント事件(平2・12・20静岡地裁沼津支部判) 性的いやがらせと違法性
1992.05.25
【判決日:1990.12.20】
執拗さ、地位利用等で判断
筆者:弁護士 宮本 光雄(経営法曹会議)
事案の概要
原告は熱海所在のホテルの従業員であるが、昭和62年11月頃、勤務が終わったときに上司である被告から食事に誘われた。原告は、食事を終えて被告の運転する車で帰路についた。途中被告は、原告の腰などを触り「モーテルにいこうよ。裸をみせてよ」などと言い、原告がはっきりこれを断ったにもかかわらず執拗にモーテルに誘った。原告がこれを断ると被告は、熱函トンネル出口付近の道端に車を止めて原告にキスを強要し、いやがる原告に対し応じなければモーテルに戻るなどと脅して執拗にキスを繰り返した。
原告は、翌日被告に対し抗議し、謝罪を求めたが、被告は「ごめんね。ショック?」という対応のみであったばかりか、逆に原告にイヤリングを渡そうとするなどした。
原告は、慰謝料の支払いを求めて訴えを起こしたが、被告は出頭しなかったし、答弁書も提出しなかったため欠席判決となった。判決は、慰謝料として100万円を認めている。
判決のポイント
被告の前記行為により原告は、生理的不快感、屈辱感を覚え、身体的にも食欲不振等になったばかりか他の従業員にも知られて退職を余儀なくされたのであるから、被告の行為は不法行為を構成する。…
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平成4年5月25日第1914号10面 掲載