大阪中央郵便局事件(平3・9・17大阪高判) 労働契約か業務委託か
1992.06.01
【判決日:1991.09.17】
裁量性、独立管理性等で判断
筆者:弁護士 安西 愈(中央大学講師)
事案の概要
本件は、郵便局で働く職場へルパーという特殊な職務をめぐる事件であり、判決は公務員法体系として判示されているが、このような業務委託問題は、最近民間企業でも多くなっているので今回これをとりあげて学ぶことにした。
事案の概要は、郵便局の「職場ヘルパー」(外勤職員の制服の繕い、休憩室の清掃、湯茶の用意、生活相談等に従事)として約11年2カ月(昭和47年6月29日~58年9月30日)にわたり就労してきた女子に対し、契約期間満了を理由に就労を拒否したことにつき、右女子労働者が、一次的に期間の定めのない非常勤職員たる地位にあることの確認、二次的に従業員たる地位にあることの確認、三次的に労働契約類似の無名契約上の地位にあることの確認、四次的(控訴審で追加)に委託契約上の地位にあることの確認を求めたものである。
これに対し、一審は、本件「職場ヘルパー」の法的地位について格別の判断を示すことなく、右請求をいずれも棄却したが、本判決は、非常勤職員の地位にあることの確認など前述の4点につき、次のように判示して一審と同じく請求を棄却した。
判決のポイント
① 非常勤職員の地位にあるか――本件は職務内容からみてもヘルパー業務委託婦人として契約したものであり、国公法上の関係の発生を意図するものでないから、国公法上の非常勤職員にはあたらない。…
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平成4年6月1日第1915号10面 掲載