日通名古屋製鉄作業事件(平3・7・22名古屋地判) 自宅謹慎期間中の賃金
1992.06.29
【判決日:1991.07.22】
まぬがれない支払い義務
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、大型特殊自動車の運転手としてY社に入社し、作業課作業長の地位にあったものであるが、昭和52年9月23日、同じ作業長のSより業務上の指示を受けたことに対し苦情を述べたところ、Sが自分にはXに業務指示をする権限があるなどと答えたため、立腹して左手でSの胸ぐらをつかみ、右手で同人の左肩から首のつけ根にかけての部分を強く押さえつけ、その後も執拗に鋼鉄製の表示板やスコップなどで殴りかかるような気勢を示した。
Sは、その後しばらくの間、作業に従事していたが、左肩の痛みがひどくなったため、早退して病院で受診したところ、左肩打撲傷により同月30日まで休務加療を要するとの診断を受けた。
Y社は、当日の午後4時頃に作業課長から口頭の報告を受け、さらに同月26日までに目撃者の証言や状況報告書が提出されたため就業規則64条に基づき、同日、Xに対して自宅謹慎を命じた。そして、Y社はXに対し、同年10月3日、譴責処分および作業長から副組長への降格処分をした。
そこで、Xは、それを不服として右各処分が無効であることの確認と自宅謹慎期間中の賃金の支払いを求めて提訴した。
判決のポイント
懲戒問題が生じて自宅謹慎を命ぜられ、後に懲戒処分が決定した場合、その期間は欠勤扱いとする旨の慣行が成立しており、労働組合もそのことを了承していたことが認められる。…
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平成4年6月29日第1918号10面 掲載