朝日火災海上保険事件(平3・3・19大阪高判) 賃金引上げ分を退職金の算定基礎からはずせるか

1992.09.07 【判決日:1991.03.19】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

合意・慣行あればOK

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 XはY社の社員であったが、昭和58年3月31日に任意退職した。

 Y社は、昭和54年度ないし昭和57年度の本俸引き上げ分を退職金算出の基礎額にはねかえらせない(退職金算出の基礎額に算入しない)との労働組合との協議決定に基づき、Xに対する退職金を算出して支給したが、Xは、本俸の引き上げ分も退職金算出の基礎額に算入されるべきであるとして、Y社の支給額との差額である約金173万円を支払うよう請求して提訴した。

 第一審の神戸地裁伊丹支部は、本俸引き上げ分は退職金算出の基礎額にはねかえらせないとの合意があったとして、Xの請求を棄却したため、Xが控訴した。

 なお、Y社と労働組合との間では、労働協約が締結されており、そこには「この協約において『従業員』とは、会社業務に従事する者であって役員ではない者をいい、組合員及び非組合員を含む」との規定、「従業員の労働条件の基準に関する事項を(中略)実施しようとする場合には、これを協議会に付議して組合と協議決定する」との規定がある。

判決のポイント

 本判決のポイントは、退職金の算定基礎に賃上げ分が算入されるか否かに関して、第1に、Y社、労働組合および非組合員たる従業員の間には、Y社と組合との間で協議決定した労働条件については、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成4年9月7日第1927号10面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。