文祥堂事件(平4・5・22大阪地判) 労使間の合意事項に対する協定書の作成拒否は?
1992.11.02
【判決日:1992.05.22】
内容、重要性で個別に判断
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
会社は、経営内容の悪化から組合大阪支部に大阪支店再建案を提示し、今後、3年間は人員整理を行わないことや7年間は大阪支店を閉鎖しないことなどを表明したが、それは出張所の閉鎖、転勤および新編成についての再建案に組合支部が協力することを前提にするものであったところ、組合支部は大阪支店の存続など5項目は既に労使間で合意が成立しているとして、会社側に協定書の作成を申し入れ、会社側はこれを拒否した。組合支部は、会社の協定書作成拒否は不当労働行為であるとして大阪地労委に救済を申し立て、これに対し大阪地労委は不当労働行為であるとして救済命令(第1次救済命令)を発した。そこで会社は、大阪地裁に救済命令の取消訴訟を提起し、同裁判所は救済命令を取り消した(大阪地判平2・10・26)ため、大阪地労委は控訴した。
その後、組合支部は第1次救済命令にある協定書の作成および大阪支店営業第3課の退職者の後任補充問題につき団交を要求し、その団交は3回にわたり行われたが合意に至らず、また、会社は右協定書の作成を拒否したため、再び組合支部は大阪地労委へ救済を求めたところ、大阪地労委は人員補充および協定書作成に関し救済命令(本件救済命令)を発したため、会社が行政訴訟を提起し、本判決が言い渡された。
判決のポイント
協定書の作成について、会社が、…
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平成4年11月12日第1935号10面 掲載