岡山電気軌道事件(平4・1・28岡山地判) ストライキ参加者に対する賃金カットの範囲は?
1992.11.09
【判決日:1992.01.28】
協約、規定、慣行で判断
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
X組合は、昭和62年2月25日、Y社に対し、1人平均2万円の賃金増額等を主要な内容とする春闘要求をなし、スト権を確立したうえ、数回の団体交渉でも妥結に至らなかったため、同年4月16日から数回にわたってストライキを実施した。Y社は、ストライキ参加者に対し「争議行為に参加した組合員に対しては、その日数及び時間に対する一切の賃金は、これを支払わない」とする労働協約条項(以下、本件条項という)に基づき住宅手当、賞与をカットしたが、X組合は、これを不当労働行為としてZ地方労働委員会に救済の申立をした。
Z地方労働委員会は、ストカットの対象は基本給だけという労使慣行が確立していたとして、Y社のストライキによる住宅手当等のカットを不当労働行為と認定し、救済命令(以下、本件命令という)を発したため、Y社は、これを不服として、その取り消しを求める行政訴訟を提起した。
判決のポイント
Y社は、本件条項が存在する以上、労使慣行が規範的効力を有する余地はないと主張する。確かに、労使慣行の存在それ自体に法的効力があるものではない。しかし、…
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平成4年11月9日第1936号10面 掲載