学校法人尚美学園事件(東京地判平28・11・30) 65歳定年により退職扱い、再雇用拒否は無効と提訴 70歳までの継続期待認める
65歳で定年退職した大学教授が、70歳までの再雇用を求めた。東京地裁は、65歳以降再雇用義務はないが、定年時にも有期契約の更新に関する雇止め法理を類推適用。理事は「70歳までOK。payは7割」と説明し、約15年間で7人いた希望者全員が70歳まで更新するなど雇用継続の期待は合理的とした。定年後も再雇用されたのと同様の雇用関係が存続するとしている。
雇止め法理を適用 過去希望拒否せず
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告Xは、被告の設置する大学の専任教員として雇用されていたが、就業規則所定の定年(満65歳に達した日の属する学年度の末日)により退職扱いとなった。
Xは、主位的に、①定年を満70歳とする合意が存在する、②定年を満70歳とする労使慣行が存在すると主張し、予備的に、③65歳の定年後、70歳まで特別専任教員として再雇用する旨の合意が雇用契約締結時に存在した、④Xには、65歳の定年後、70歳まで1年毎の嘱託契約(再雇用契約)を締結するものと期待することについて合理的な理由があるから、雇止め法理が類推適用されると主張して、特別専任教員としての労働契約上の地位の確認、賃金・賞与の支払い等を求めた。
判決のポイント
原告が被告との間で、被告の就業規則(本件規程)と異なる労働条件の合意として、本件定年合意をしていたものと認めることはできない。
就業規則に定めのある事柄であり、かつ就業規則の趣旨に反する慣行につき規範意識を肯定して事実たる慣習として法的拘束力を認めることは…
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