不動技研工業事件(長崎地判令4・11・16) 同業他社への引抜き計画に関与した3人を懲戒 服務規律違反の解雇は無効
競合会社を立ち上げる元従業員の引抜き計画に加担したのは職務専念義務に反するとして、懲戒処分を受けた3人が処分無効を訴えた。長崎地裁は、懲戒解雇や降格処分等を無効とした。服務規律違反には改善を求めると定めているが指導等していなかった。部下らへ転職を働きかけたとも認められない。会社が処分内容等を社内や取引先へ公表、説明したことは名誉毀損に。
改善求めると規定 注意指導なかった
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
会社は、機械、プラント、船舶、自動車、土木建築の設計、製造および販売業務、システム・プログラム設計および保守業務等を業としている。甲、乙、丙の3人(以下、甲ら)は、会社との間で期間の定めのない労働契約を締結して、いずれも10年以上働いている。
元従業員Aは会社の現職従業員らを引き抜き、設立予定の新会社(競業業務を行う)へ転職させることを計画し、参加を働きかけていた。
会社は、甲らがAと共謀して服務規律違反および職務専念義務に違反して会社に損害を与えたとして、甲を懲戒解雇、乙を降格処分(管理職1級から一般職5級)、丙を論旨解雇とした。
甲らは本件各処分の無効を主張し、地位確認・未払賃金の支払いおよび不法行為による損害賠償を請求した。なお、甲および乙に対しては予備的に普通解雇したと会社は主張している。
判決のポイント
甲は上記計画が具体化する当初から、Aから相談を受け、随時、協議を重ねてきたということができるから、上記計画について、Aと通謀したと認められる。そして、…
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