阪神電気鉄道事件(大阪地判令4・12・15) 年休の取得認められず欠勤控除、減額分を請求 適法な時季変更で賃金不要

2023.07.13 【判決日:2022.12.15】
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 年休の時季変更権を行使された乗務員が、出勤しなかったところ賃金を控除されたため違法と訴えた。大阪地裁は、会社は代替勤務者を確保して一定数の年休申請を認めており、これ以上は通常の配慮をしても勤務割を変更できなかったとして、時季変更権の行使を有効と判断。年休を付与すると公休日に出勤を命じられる人が出るなど、労使合意に反することも考慮した。

代替確保できない 休出は合意反する

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、鉄道事業を営むYに雇用されて、車掌として勤務割に基づく勤務をしていたが、平成30年8月19日、1カ月先の9月19日について年次有給休暇(以下「年休」)の時季指定をし、これに対してYが時季変更権を行使したにもかかわらず、同日出勤せず1日分の賃金を減給され、翌20日に欠勤を理由とする注意指導を受けた。なお、19日にはXに先んじて年休申請して認められた者が7人、研修等で勤務振替等が必要となる者も5人おり、その合計が12人に達していて、予備要員等の上限に達していた。

 Xは、時季変更が違法であると主張して、①減給された賃金、②労基法114条に基づく①と同額の付加金、③違法な時季変更権の行使を前提とする注意指導につき不法行為による慰謝料50万円および各遅延損害金の各支払いを求めて提訴した。

判決のポイント

1 判断枠組み

 勤務割における勤務予定日につき年休の時季指定がされた場合に、…

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令和5年7月17日第3409号14面 掲載
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