東海交通機械事件(名古屋地判令4・12・23) 先輩から暴力受けケガ、病気も発症と賠償請求 パワハラ放置で会社に責任
2023.07.27
【判決日:2022.12.23】
先輩からの暴力で後遺症が残り、適応障害等を発症したとして、加害者と対応を怠った会社に対し、慰謝料等を求めた。名古屋地裁は、書類作成のミスに関して退職を迫る言動や暴力等は指導を逸脱したパワハラと認めたうえ、注意指導の過程で頭を叩くなどの暴行は上司の所長らも認識し得たことから安全配慮義務違反とした。加害者と会社に連帯して賠償支払いを命じた。
上司ら認識できた 指導逸脱した行為
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、原告が、先輩従業員であった被告Yから、日常的に暴行、暴言、陰湿ないじめ行為などのパワハラを受け、被告会社はこれを放置し、原告は被告Yの暴行により左網膜周辺部変性、左外傷性鼓膜損傷等の傷害を負い、後遺症が残るとともに、適応障害およびパニック障害を発症したとして、損害賠償を求めた事案である。原告は、被告Yに対しては不法行為に基づき、被告会社に対しては民法715条の使用者責任および債務不履行責任に基づき、また、被告会社の行為につき不法行為に基づき、治療費、慰謝料、後遺障害逸失利益等の損害4296万余円等の支払いを求めた。
判決のポイント
被告Yは、…
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令和5年8月7日第3411号14面 掲載