国立大学法人東北大学(雇止め)事件(仙台高判令5・1・25) 就業規則変えて更新上限5年、無期転換逃れ? “常用性”なく雇止めは有効
事務補助業務などに従事して、期間満了で雇止めされた職員が、地位確認等を求めた事案の控訴審。就業規則を改正して無期転換に必要な期間のカウントを開始する平成25年度から5年を上限とした。仙台高裁も雇止めは違法無効とはいえないと判断。基幹的業務といえず契約期間で業務が変化していることから雇用の常用性を否定した。労働契約法に抵触しないとしている。
基幹業務といえず 時期で内容が変化
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
国立大学法人であるY法人においては、時間雇用職員(週30時間を超えない範囲内で、一事業年度を超えない範囲内で期間を定め雇用する職員等)の就業規則(以下「旧就業規則」)に、原則3年の範囲内で雇用を更新する旨が定められていた。
平成18年4月1日、ⅩはY法人との間で、Y法人が設置する大学院であるA学研究科における時間雇用職員として、契約期間を同日から翌年3月31日までとする有期労働契約(以下「平成18年度労働契約」。他の年度についても同様)を締結した。その後も、Y法人から謝金の支払いを受けてY法人の業務に従事した平成22年度を除き、平成19年度から29年度まで、Xは、Y法人との間で、時間雇用職員として有期労働契約を締結した。
Xは、平成18年度から20年度までは、教育研究支援者としてネットワークシステムの製作の補助業務等、同21年度は技術補佐員として研究プロジェクトに関する業務、同22年度は、勤務時間の定めなく、謝金の支払いを受けて、コンピュータネットワークのメンテナンス業務等(以下「謝金業務期間」)、同23年度から25年度までは、事務補佐員として主に書類の印刷・製本の業務等に従事した。
Xは、平成18年度労働契約締結の際に、Y法人に対して、…
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