住友生命保険(費用負担)事件(京都地判令5・1・26) 営業活動費の控除一部無効
2023.09.14
【判決日:2023.01.26】
保険会社の営業職員が、資料の印刷代や顧客への物品代等を賃金から控除されたため、全額払いに反すると訴えた。京都地裁は、営業活動費の控除を一部無効とした。物品等の利用は義務付けられていなかったが、控除に明示的に異議を述べた時期以降について個別合意の成立を否定した。一律定額の負担が義務付けられた印刷代の控除に同意したとは認められないとしている。
異議述べ同意せず 印刷代も会社負担
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、生命保険会社である被告の営業職員であり、被告に対し、被告が原告の賃金から業務上の経費を控除したことは労働基準法24条1項の賃金全額払いの原則に反し許されず、被告の業務のために携帯電話を使用したなどと主張して未払賃金等の支払いを求めた。
判決のポイント
賃金は、直接労働者に、その全額を支払わなければならず(賃金全額払の原則。労働基準法24条1項本文)、使用者が賃金支払の際に適法に控除を行うためには、書面による協定が必要である(同項ただし書)。…同項ただし書については、…
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令和5年9月18日第3417号14面 掲載