広島県・県労委事件(広島地判令5・3・27) 組合員の解雇を不当労働行為とした労委命令は 反組合が決定的動機でない
労働組合の執行委員長らの解雇を不当労働行為とされた会社が、県労委の救済命令取消しを求めた行政訴訟。広島地裁は、通勤手当の不正受給や配転拒否を理由とした解雇には合理性、相当性が認められ、懲戒処分等は組合嫌悪が決定的な動機ではないと判断。不正受給に関し反省の態度を示さず、配転拒否にも合理的理由がないことや、弁明の機会を与えたことも考慮した。
懲戒合理性有する 弁明の機会も付与
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
被告補助参加人組合は、原告(法人)が、参加人に単組加盟したT労働組合の組合員であるEおよび執行委員長であるFを解雇したことについて、広島県労働委員会に対し、救済命令の申立てをした。
これに対し、同委員会は、E解雇およびF解雇が労働組合法7条1号および3号の不当労働行為に該当するとして、原告に対し、(1)E解雇およびF解雇をなかったものとして原職または原職相当職に復帰させ、同人らに対し復職までに得たであろう賃金相当額と遅延損害金を支払うことを命じる(第1項)とともに、(2)EおよびFに対し両人の解雇が不当労働行為であると認められたことおよび今後このような行為を繰り返さないことが記載された文書を交付することを命じる(第2項)旨の救済命令(以下「本件救済命令」という)を発した。
本件は、原告が、本件救済命令の取消しを求めた事案である。
判決のポイント
(1)本件解雇が労組法7条1号又は3号の不当労働行為に該当するというためには、…
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