社会福祉法人B事件(山口地判令5・5・24) 子ども手当新設して正職員の扶養手当廃止は? 格差是正目的の変更で有効
2023.10.12
【判決日:2023.05.24】
給与規程の変更で扶養手当等が減少した正職員が、不利益変更は無効と主張して差額賃金を求めた。山口地裁は、パート・有期雇用労働法改正に対応するため非正規職員も対象になる子ども手当等を新設したもので、正職員の人件費を手当の原資に充てることの合理性・相当性を認めた。原告らの賃金の減額率は数%で、激変緩和措置を1年から2年間実施したことも考慮した。
賃金減額率は数% 1年以上の緩和策
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告設置の病院に勤務している原告らに支給される賃金は、令和2年10月1日に就業規則および給与規程(従来の扶養手当および住宅手当)が変更されたことにより、減少した。原告らは、①主位的に、就業規則等の変更は専ら人件費の削減を目的とするものであることを秘してされたため合理性がなく、②予備的に、労働契約法10条所定の諸事情に照らして合理性を有するとはいえず、同法9条本文により無効であると主張して、被告に対し、変更前の給与規程に従って算出した手当額と既支給額との差額および遅延損害金の支払いを求めた。
判決のポイント
本件病院がパートタイム・有期雇用労働法の改正への対応を契機として行った本件旧規定の見直しの結果、…
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令和5年10月16日第3421号14面 掲載