新潟市(市水道局)事件(新潟地判令4・11・24) 組織改編し未経験業務に、指導不十分で自殺? 職場環境改善する義務怠る
組織改編で未経験業務となった市職員が自殺したのは、パワハラでうつ病になったためとして、遺族が損害賠償を求めた。新潟地裁は、上司らが必要な指導をしたり、職場環境を改善し質問しやすい環境を構築すべき注意義務を怠ったと判断。上司は、職場の雰囲気や職員が悩みを相談しない性格であることを認識し得たとした。業務でうつ病を発症したとは認定しなかった。
質問し難い雰囲気 性格も認識し得た
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、平成19年5月に自殺により死亡したDの相続人(Xら)が、Dの勤務先(Y)に対し、Yの安全配慮義務違反によりDが自殺したと主張して、債務不履行に基づき、賠償を求めたものである。
Dは、昭和44年に生まれ、その後、平成2年に新潟市水道局に技手として採用された男性である。水道局の組織改編に伴って管路課給配水係所属となった。
平成19年4月、水道局の組織改編に伴って給配水係が新設され、E係長は給配水係の係長となり、F主査、D(副主査から主査に昇任)およびH技師も同様に給配水係の所属となった。また、…I主査が、給水装置課から給配水係に異動した。組織改編に伴い、現場作業を行う部署(工事事務所等)が行っていた単価表等の改定業務は、同月以降、全て給配水係が担当することとなった。E係長は、平成19年3月頃、F、DおよびHに対し、単価表等の改定業務を担当することを命じた。Dは、それまで単価表等の改定業務に従事した経験はなく、当時、事務処理要領等(マニュアル類)も存在しなかった。…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら