ほけんの窓口グループ事件(大阪地判平28・12・15) セクハラの処分決定まで就業禁止、賃金支払義務は 自宅待機に6割の定め有効
社外でのセクハラを理由とした懲戒解雇の無効と、自宅待機中の賃金支払いを求めた。大阪地裁は解雇有効としたうえで、待機中は平均賃金の6割とする就業規則も不合理でないと判断。待機は処分の調査審議に必要な期間に限り、額も休業手当と同額など規則に合理性はあるが、一度満額を払い翌月控除した結果3万円しか払われず、調整的相殺の範囲を超え無効とした。
休業手当と同額で翌月控除は認めず
著者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
被告の従業員であった原告は、女性従業員(P3)に対するセクシュアルハラスメント行為を理由として、懲戒解雇処分を受けた。本件は、原告が、かかる行為はしておらず、同処分は無効であると主張して、被告に対し、労働契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、平成26年12月以降の賃金(一部、同処分前の未払賃金を含む)の支払いを求めた事案である。
判決のポイント
1、原告は、P3に対し、平成25年11月、マフラーで首を絞めて駐車場の奥まで引きずり、キスをするというセクハラ行為に及んだもので、その態様は粗暴かつ悪質で、刑事犯にも該当し得る行為である上、原告は平成23年12月及び平成24年7月にも深夜の公園や路上でP3に無理矢理キスをするというセクハラ行為に及び、さらに、平成24年8月にも午後11時頃にP3を公園に連れて行こうとしたのである。
このような原告の一連の行為が、就業規則の懲戒解雇事由である「13条に定めるハラスメントと認められる行為を繰り返し、職場環境を著しく悪化させたとき」に該当することは明らかであるところ、…
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