大成建設事件(東京地判令4・4・20) 留学費用の貸与で誓約書、退職者に返済求める 賠償予定や全額払に反せず
2024.02.08
【判決日:2022.04.20】
海外研修から復職せず退職した元従業員に対し、会社が誓約書等に基づき貸与した費用の返済を求めた。東京地裁は、労基法の賠償予定の禁止や賃金の全額払いには反しないと判断。研修は本人の意思で受講し、内容は汎用性が高く、5年超働けば返済は免除されることから、貸与は雇用継続を強要するものではないとした。給与等との相殺について説明され、異議を述べず合意した。
5年勤務なら免除 説明して相殺合意
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、被告に在職中、社外研修制度により留学した後、被告を退職した。
本訴請求事件は、原告が、被告に対し、賞与、賃金、立替え経費、退職金等の支払いを求めた事案である。他方、反訴請求事件は、被告が、社外研修費用は被告が原告に貸与したものであり、原告との相殺合意に基づき、研修費用返還請求権および利息請求権と本訴請求債権とを相殺したとして、原告に対し、消費貸借契約に基づき、相殺後の残額729万余円等の支払いを求めた事案である。
なお、本判決の控訴審(東京高判令4・12・14)は、控訴人(一審原告)の控訴を棄却し、上告審(最二小決令5・6・28)は、上告を棄却し、上告審として不受理とした。…
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令和6年2月12日第3436号14面 掲載