ファミリーマート労委命令取消請求事件(東京地判令5・5・25) コンビニ店長と団体交渉拒否、不当労働行為か 労組法の労働者とは認めず
コンビニ店長らで組織する労働組合が、団交拒否を不当でないとした中労委命令の取消しを求めた行政訴訟。東京地裁は、労組法の労働者には当たらないとした。会社は、加盟店の店長らを労働力として確保する目的や権限を有しておらず、組織への組入れを否定。加盟店には従業員の雇用に裁量があるなど顕著な事業者性があったと認めた。報酬は労務提供の対価といえないとした。
事業組入れを否定 顕著な“事業者性”
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
A(参加人)はコンビニエンスストアの経営等を目的とする株式会社であり、フランチャイズ本部としてコンビニエンスストア店舗(以下「加盟店舗」)を経営するフランチャイジー(以下「加盟者」)とフランチャイズ契約(以下「本件契約」)を締結したうえで、店のマーク、経営ノウハウおよび店舗経営の支援などを提供している。
Xユニオンは、平成24年8月に結成された団体である。後述の団体交渉申入れ当時、Xの組合員は13人であり、うち本件契約を締結した加盟者が10人、本件契約を締結した法人の加盟者の代表者が2人(以下、両者を総称して「加盟者組合員」)、その他1人から成っており、加盟者組合員は、いずれも加盟店舗の店長を務めていた。
平成24年9~10月、XはAに対し、「加盟者が再契約を希望する際に参加人が可否を決定する具体的な判断基準について」を議題とする団体交渉を申し入れたものの、団体交渉は開催されなかった。
Xは、本件団交拒否は労組法7条2号の不当労働行為に当たると主張し、東京都労働委員会に対し救済申立てを行ったところ、同委員会はXの申立てを認容し救済命令(以下「初審命令」)を発したが、中央労働委員会は、加盟者は労組法上の労働者ではないという理由により本件団交拒否は不当労働行為に当たらないと判断し、初審命令を取り消す旨の命令を発した。
これを受け、Xが、被告国に対し、本件命令の取消しを求めた。本件の主要論点は、Xの組合員の労組法上の労働者性の有無である。
判決のポイント
ア 労組法…上の労働者には、…相手方との個別の交渉において交渉力に格差が生じ、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら