中倉陸運事件(京都地判令5・3・9) 退職勧奨は障害者差別と主張して地位確認請求 通院治療のみ理由で慰謝料
2024.03.28
【判決日:2023.03.09】
退職勧奨に応じたドライバーが、精神障害が理由の差別等に当たり違法無効と主張して地位確認等を求めた。入社時の健診結果には、うつ病のほか糖尿病等が記載されていた。京都地裁は、退職勧奨は通院、服薬治療のみを理由に行われ、医師の知見を得るなど業務に与える影響を検討していないと判断。障害者への適切な配慮を欠き不法行為とした。合意解約は有効としている。
業務への影響不明 合意解約は有効に
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
原告は、貨物自動車運送事業等を目的とする被告に、4トンウイング車乗務員として雇用された。Xは、大型自動車、大型特殊自動車等の運転免許を有する者であり、障害等級3級の精神障害者保健福祉手帳を有している。
原告は、令和2年8月1日から就労を開始したが、同月4日に精神障害等級3級の認定を受けている旨の書類を提出したところ、即日解雇されたが、本件解雇は無効であるなどと主張して、①労働契約上の権利を有する地位の確認、②未払賃金等の支払い、③障害者を差別した不当解雇、あるいは違法な退職勧奨を受けたとして、不法行為責任に基づき、慰謝料500万円等の支払いを求めた。
判決のポイント
原告は、令和2年8月4日、A所長を通じて被告から雇用を継続することは困難である旨告げられ…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
令和6年4月1日第3443号14面 掲載