学校法人札幌国際大学事件(札幌地判令5・2・16) 解雇されて提訴中に63歳定年となり契約終了!? 65歳までの雇用継続認める
懲戒解雇は無効として提訴した大学教授が、訴訟係属中に63歳の定年年齢に達したため、解雇の効力と定年後の再雇用の成否等を争った。札幌地裁は、解雇を無効としたうえ65歳までの再雇用契約の成立も認めた。雇止め法理に関する判例を参照し、人事考課等から再雇用の拒否にやむを得ない特段の事情もないとした。賃金は、内規等に基づき再雇用時の給与区分の最も低い金額とした。
雇止め法理を参照 賃金は最低区分に
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Y法人の運営する大学と雇用契約を締結して教授として勤務していたXは、前学長の意見(大学のコンプライアンス違反の懸念を主張)に共感・賛同の行動をしたこと、SNS投稿による内部情報漏洩・誹謗中傷行為、教授会の大半を欠席したこと等を理由として懲戒解雇された。Xは、本件懲戒解雇は無効であり、不法行為にも該当すると主張して、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、賃金パックペイ、慰謝料等を求めて提訴した。その後、Xが定年年齢(63歳)に達したことから、Yは仮に懲戒解雇が無効であっても、定年により雇用は終了していると主張し、これに対しXは定年後再雇用が成立しているとして争った。
判決のポイント
1 懲戒解雇の有効性
Xが前学長に積極的に協力し、助長…したこともうかがわれ(ず)、…(SNS)投稿の内容は、不明確、婉曲的又は抽象的なもの等が複数含まれており、大学との関連性が必ずしも明らかでないこと、教授会への欠席の一部には正当な理由があり、Xの人事考課の内容、Xが、Yから、教授会への欠席を理由として、注意、指導、処分等を受けたことはうかがわれないこと等に照らせば、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら