メトロコマース事件(東京地判平29・3・23) 同じ売店業務で賃金格差、パートが不合理と訴える 時間外割増率の差のみ違法 ★
駅売店で働くパート4人が、同一業務にもかかわらず正社員と賃金格差があるのは不合理と訴えた。東京地裁は、「売店業務の専従正社員」はごく一部で例外的として、広く正社員一般との比較が相当と判断。職務やその責任の程度に大きな相違があり本給や住宅手当等の相違は不合理とはいえないが、早出残業の割増率の相違には合理的理由を見いだし難く、法違反とした。
正社員一般と比較 「専従」はごく一部
著者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は、東京地下鉄株式会社(東京メトロ)の100%子会社として、東京メトロ駅構内における新聞、飲食料品等の物品販売等に関する事業を行う株式会社である。
Xら4人は、いずれも「契約社員B」の区分の従業員として、期間1年以内の有期労働契約を反復更新して、販売業務に従事し、または過去に従事していた者である。
Y社の従業員840余人のうち、正社員は約600人、そのうち、Xらと同様に売店業務に従事しているのは18人であった。Y社では契約社員BからA、Aから正社員への登用制度が設けられていた。平成22年度から26年度の合計で、契約社員BからAの登用試験の受験者134人のうち合格者は28人であり、Xらは平成22年度および23年度に受験したが不合格であった。
Xらは、Y社の正社員がXらと同一内容の業務に従事しているにもかかわらず賃金等の労働条件に差異があることが、労働契約法20条に違反しかつ公序良俗に反すると主張し、不法行為または債務不履行に基づき、差額賃金相当額(本給・賞与・各種手当・退職金等の各差額)等の支払いを求めて、Y社を提訴した。…
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