宮田自動車商会事件(札幌高判令6・3・22) 退職願撤回したら懲戒解雇され地位確認求める “周知”否定した一審を覆す

2024.08.01 【判決日:2024.03.22】
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 退職願を撤回したため退職合意は成立せず、その後の懲戒解雇も無効として、元従業員が地位確認等を求めた事案の控訴審。所長の机の引出しに保管されていた就業規則は周知の要件を欠き、処分無効とした一審に対して、札幌高裁は、閲覧したいと思えば確認できる状態だったが処分は重すぎるとした。退職の合意はいったん成立したが、解雇により会社が承諾を撤回したとした。

机の中でも閲覧可 処分は重すぎ無効

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、控訴人(一審被告)会社に雇用された被控訴人(一審原告)が、使用者である控訴人会社に対し、懲戒解雇が無効である旨主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と賃金の請求等をした事案である。

判決のポイント

1 認定事実によれば、被控訴人が令和2年1月14日に本件退職願を提出し…控訴人会社は、同月22日、被控訴人に対し、本件退職願が正式に受理された旨伝えているから、同日の時点で控訴人会社と被控訴人との間の労働契約が同年3月31日をもって終了する旨の合意が一旦は成立したということができる。しかし、被控訴人は、同年2月19日頃に控訴人会社から諭旨解雇処分を予定している旨伝えられたことがきっかけとなり、同月27日、控訴人会社に対し、退職の意思表示を撤回する旨の意思表示をしている。これに対し、控訴人会社は、被控訴人に対し、同年3月6日に本件退職願の撤回はできない旨伝えたにもかかわらず、同月27日には、被控訴人に対し、同年4月28日をもって懲戒解雇する旨の本件懲戒解雇の意思表示をしている。本件懲戒解雇は、控訴人会社と被控訴人との間の労働契約が同年3月31日を経過した後も同年4月28日までは維持されることを前提に、同日をもって懲戒解雇処分により終了するとの内容であると解さざるを得ないから、控訴人会社は、本件懲戒解雇の通知により、同年3月31日をもって労働契約を終了する旨の申込みに対する承諾を撤回し、改めて同年4月28日をもって懲戒解雇を行う旨の意思表示をしたものと評価するほかはない。そうすると、控訴人会社と被控訴人との間では、…

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令和6年8月12日第3460号14面 掲載
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