あんしん財団事件(最一小判令6・7・4) メリット制対象事業主が業務災害でないと提訴 労災支給処分取消し争えず ★
2024.10.03
【判決日:2024.07.04】
業務災害で労災保険料が増えるおそれがあるとして、事業主が労災支給決定処分の取消しを求めた事案の上告審で、最高裁は原告適格を否定。労災支給決定は被災労働者の保護を目的とし、保険料額の基礎となる法律関係まで確定するものではないとした。客観的に支給要件を満たさない給付額は保険料計算から除外するとしたうえ、保険料の認定処分の不服申立て等が可能とした。
保険料額は訴訟可 違法なら算定除外
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
処分行政庁は、被上告人に使用されて業務に従事していた上告補助参加人が、業務に起因して疾病にり患したことを理由として、労災法に基づき療養補償給付および休業補償給付の各支給決定をした。
本件は、被上告人が、上告人を相手に、本件各処分の取消しを求める事案であり、被上告人は、徴収法12条3項の規定によれば、本件各処分により、その納付すべき労働保険料が増額されるおそれがあるなどとして、本件各処分の取消しを求める原告適格を有すると主張している。
判決のポイント
(1)略
(2)ア 労災保険法は、…
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令和6年10月7日第3467号14面 掲載