ドリームエクスチェンジ事件(東京地判平28・12・28) 私的なチャットで解雇、費やした時間の賃金返せ!? 私語を区別できず労働時間
私的なチャットを理由に懲戒解雇された元課長が、処分無効を求めた事案。会社は反対に労働時間ではないとして賃金返還を求めた。東京地裁は、業務連絡にチャットが使われていた中で、1日約2時間の私的利用は職務専念義務に反し、内容も会社の信用を毀損するなど処分有効とした一方、私語と業務連絡が混在し時間を特定できないため、まとめて指揮命令下とした。
指揮命令下と判断 内容から懲戒有効
著者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)
事案の概要
被告は、移動体通信事業等を業務とする会社である。原告は、平成25年2月1日付で被告に雇用され、同年5月1日から管理本部経理課長に昇格して経理・総務業務を担当していた。被告では、従業員が社内での業務連絡のため、常時パソコンでチャットを利用する運用としていた。
原告は、平成25年11月18日から平成26年6月20日までの約7カ月間、業務中、合計5万158回のチャットを行っていた(以下「本件チャット」という)。その内容は、経理課長の職にあり、顧客情報の持出という就業規則に違反する行為を防止する立場にある原告が、社員Cに顧客情報データを社外に持ち出すように指示したもの、被告社員との間で、被告について「確実に潰れるから」などと発言し被告の信用を棄損したもの、直属の部下であるDについて誹謗中傷するもの、女性社員2人について性的な誹謗中傷を行うものというものであった。
被告は、これらのチャットを理由に、平成26年7月8日付で原告を懲戒解雇(以下「本件解雇」という)した。
原告は、本件解雇の無効と時間外労働に対する割増賃金等の支払いを求め訴訟提起した。一方、被告は、チャット時間を労働時間から控除すると給与が過払いとして、約16万円等の支払いを求めた。…
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