イオン銀行事件(東京地判令6・3・8) 販促用の洗剤を持ち帰ったら盗んだとクビに!? 窃盗だが懲戒解雇重過ぎる

2024.12.12 【判決日:2024.03.08】
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 銀行の副店長が、通勤中に営業開始前の携帯ショップの店頭にあった洗剤を盗んだとして懲戒解雇された事案。販促物として「ご自由にお取りください」と表示されていた。東京地裁は、営業時間外の取得は窃盗罪に該当し得るが、解雇は重過ぎるとした。周囲に犯行が発覚し銀行の信用を失墜させたが、販促物は高価でなく、反省の態度を示し謝罪していることも考慮した。

価格や謝罪も考慮 信用失墜させたが

筆者:弁護士 野口 大(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、銀行の副店長が、勤務する店舗と同じフロアの斜向いにある携帯ショップ(以下「本件被害店」という)の営業時間前に同店舗に配置されていた販促物である洗剤1点(以下「本件物品」という)を出勤途上に取得したことについて、窃盗罪に該当する行為であり就業規則の懲戒解雇事由に該当するとして、懲戒解雇した事案である。

判決のポイント

 (1)懲戒事由該当性について…原告が本件非違行為に及んだことについては、当事者間に争いがない。この点、原告は、本件物品が販促物として通行人が手に取りやすい位置に配置されており、客観的には本件被害店がその取得を許容していたといえるから、窃盗罪には該当しないと主張する。

 しかし、一般に、店頭に配置された販促物は、そこを通る顧客等に配布することで、商品やサービスへの興味関心を引き、店舗に足を向けてもらい、商品の購入やサービスの利用につなげることを目的とするものであるから、当該店舗の営業時間中に配布することを予定していると解されるところ、本件被害店の販促物についてもこれと別異に解する事情は認められない。

 そうすると、本件被害店の営業開始前に本件物品1個を取得した本件非違行為は、…

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令和6年12月16日第3477号14面 掲載
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