大津漁業協同組合事件(水戸地判令6・4・26) 週刊誌へ内部告発、虚偽の情報と普通解雇処分 信用低下は限定的で無効に

2025.02.27 【判決日:2024.04.26】
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 虚偽の情報を記者に伝えて記事を掲載させたとして、職員を普通解雇した事案。水戸地裁は、漁協がデータを改ざんしたとの記事による信用低下は、仮にあるとしても限定的で解雇無効とした。職員が、県の検査結果が訂正された書面をみて、不正の疑念を抱くことは不合理といえず、取材に応じ書面等を提供したことをもって、故意に虚偽情報を提供したとはいえない。

疑念不合理でない 地位確認を認める

筆者:弁護士 野口 大(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、漁業協同組合の職員が週刊誌の記者に対し、自らが勤務する漁協が放射性物質分析結果を改ざんしたと内部告発した事案である。

 職員は分析結果の数字が手書きで訂正された内部資料(以下、本件書面)や会議の録音媒体を週刊誌記者に提供し、週刊誌の記事が掲載されたことから、漁協は職員を普通解雇した(この職員についての別の解雇理由や他の職員に対する解雇については割愛する)。

 本判決は、解雇を無効と判断した。

判決のポイント

1 (週刊誌の)記事の内容は、「茨城県加工シラス放射能“基準超え”数値はなぜ消えた」との題名のもと、本件書面に数値修正の書き込みがあり、…

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令和7年3月3日第3487号14面 掲載
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