サカイ引越センター事件(東京高判令6・5・15) 引越しの売上げや件数で額決まる手当は歩合? 作業量連動せず出来高否定
2025.03.06
【判決日:2024.05.15】
引越し運送会社が、売上げや件数等に応じて金額が決まる業績給は労基法の出来高給に当たらないとした一審を不服として控訴した事案で、東京高裁は控訴を棄却した。現業職の出来高給の金額は、作業量や運搬距離といった労働の成果に一定比率を乗じて決まるとしたうえ、引越しの売上げや件数は必ずしも作業量等と連動せず、緩やかな相関関係では不十分としている。
現業職の成果みる 相関関係が重要に
弁護士:牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
控訴人(一審被告)に雇用され、引越運送業務に従事していた被控訴人(一審原告)らが、時間外労働に係る割増賃金等の支払いを求めた事案である。
本件の大きな争点のひとつは、割増賃金の基礎に含まれる賃金の範囲である。
控訴人は、業績給A(売上給)、業績給A(件数給)、業績給B、愛車手当および無事故手当は、労働基準法施行規則19条1項6号の出来高払制賃金に該当し、割増賃金の基礎となる賃金に含まれないと主張した。
判決のポイント
「出来高払制その他の請負制」(労基法27条及び労基法施行規則19条1項6号)とは、…
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令和7年3月10日第3488号14面 掲載