日本マクドナルド事件(名古屋高判令5・6・22) 就業規則等で規定せず無効 店舗独自の勤務シフト使い1カ月変形制を運用

2025.03.20 【判決日:2023.06.22】
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 店長が作成する勤務割は就業規則と同視できるなどとして、会社が1カ月変形制の適用を求めた事案の控訴審。名古屋高裁は、一審同様に変形制を無効とした。就業規則には原則となる4つのシフトのみ規定され、店舗独自の勤務割を就業規則等と解することはできないと判断。各日、各週の時間を特定したうえ、勤務割表の作成手続きや周知方法を定める必要があるとした。

時間特定が必要に 行政解釈を踏襲し

筆者:弁護士 小鍛冶 広道(経営法曹会議)

事案の概要

 一審被告は日本全国でハンバーガーショップを運営する会社であるが、正社員である店舗マネージャーについては毎月1日を起算日とする1カ月単位の変形労働時間制(労基法32条の2。以下「月間変形労働時間制」という)を採用していた。同社の就業規則においては、店舗マネージャーに対しては前月末日までに勤務割を通知する旨が記載されているほか、各勤務シフトにおける始業終業規則および休憩時間については、「原則」として同規則に明示された4パターン(Oシフト、Dシフト、Cシフト、Nシフト)による旨が定められていた。一審被告の正社員(店舗マネージャー)であった一審原告の配属されていた店舗においては、上記4パターンと異なる独自の勤務シフトを用いて勤務割が作成されていた。

 一審原告は、上記のとおり配属店舗において就業規則とは異なる独自の勤務シフトを採用していたことから月間変形労働時間制の適用要件を充足しない旨を主張した。これに対し、一審被告は、その直営店舗数が864店舗に上り、全店舗に共通する勤務シフトを設定することは事実上不可能である、としたうえ、就業規則が定める勤務シフトはあくまでも原則として例示したものであり、各店舗においては、就業規則に準じて1日8時間を目安に実態に応じた勤務シフトを設定し、勤務管理システムおよびマネージャースケジュール表(マネスケ)において従業員に対して周知しており、マネスケは就業規則と同視できるものであること等からすれば、一審被告における勤務シフトは就業規則に基づくものといえる等と主張した。

 本件は控訴審判決である。判決は、第一審判決(名古屋地判令4・10・26)の判示を引用して以下のとおり述べ、「一審被告の定める変形労働時間制は無効であるから、本件において適用されない」と判示した。

判決のポイント

 1か月単位の変形労働時間制が有効であるためには、(1)就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、…

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令和7年3月24日第3490号14面 掲載
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