ジャパンプロテクション事件(東京地判令6・5・17) 警備員が仮眠時間中も対応必要と割増賃金請求 固定残業代は無効 最賃下回る基本給
2025.04.24
【判決日:2024.05.17】
ビルの夜間警備員が、仮眠時間中の割増賃金を求めた。東京地裁は、1人で業務を行った時期を労働時間とした一方、2人体制の時期は仮眠中に1人で対応可能で、かつ、警備の発報がほとんどなかったことも踏まえ、労働からの解放が保障されていたと判断。基本給等の時間単価は最低賃金を下回るなど、調整手当には「通常の賃金」が含まれ固定残業代とは認められない。
2人体制時の労働時間否定
筆者:弁護士 野口 大(経営法曹会議)
事案の概要
本件は施設警備業の警備員が、仮眠時間が労働時間である等と主張して残業代を請求した事案である。午前0時から5時までの仮眠時間の労働時間性、1カ月単位の変形労働時間制の有効性、調整手当を固定残業代とすることの有効性等が主要な争点である。
判決のポイント
1 仮眠時間について
原告が令和2年3月31日までに担当していた管制業務について検討するに、同日までの管制業務は、従業員2名で対応し、機械による発報があった場合に外部委託先に駆け付ける24時間体制の機械警備業務が含まれていたが、機械警備業務の契約数は3社にとどまり、ほとんど…
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令和7年5月5日第3495号14面 掲載