国・中労委(阪急交通社)事件(東京地判平25・12・5) 派遣先がみなし制巡る団交拒否、労委が不当と判断 管理責任があり応諾義務も
みなし労働時間制の適用に関する派遣添乗員の団交申入れを派遣先が拒否し、労委に不当労働行為とされたためその取消しを求めた。東京地裁は業務の態様から労働時間は算定でき、派遣先が時間管理を怠り割増賃金が支払われなかった点において雇用主と同視できる程度に労働条件を支配決定しているとして、その範囲で労組法の使用者とした。
雇用主と同視可能 時間の算定できる
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
株式会社阪急交通社(以下「旧会社」という)は、その100%子会社である株式会社阪急トラベルサポートから添乗員の派遣を受け入れていたところ、補助参加人組合と同支部から、労働時間の管理等の事項に関する団体交渉を2回申し入れられたものの、これらをいずれも拒否した。また、参加人らは平成20年5月21日、旧会社の旅行事業に関する権利義務を吸収分割により承継した原告に対し、前記団交事項と同じ事項に関する団交を申し入れたものの、原告はこれを拒否した。
参加人らは、東京都労働委員会に対し、旧会社の各団交拒否が労働組合法7条2号の不当労働行為に当たるとして、救済命令の申立てをした。都労委は、参加人らが原告に申し入れた団交事項のうち、労働時間管理に関する団交に誠実に応じなければならない旨等を命ずる救済命令を発した(以下「初審命令」という)。これに対し、原告は、中央労働委員会に対し、初審命令に係る再審査申立てをしたものの、中労委は、平成24年11月7日、前記再審査申立てを棄却する旨の命令を発した。
本件は、原告が本件命令の取消しを求めた事案である。…
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