富士ゼロックス事件(東京地判平26・3・14) 職務怠慢の問題社員を中途採用から1年で普通解雇 再三注意も改善見込みなし
障害者雇用促進法で定める障害者として中途採用された者が、勤務成績不良や多数の業務命令違反を理由に1年で解雇され地位確認等を求めた。東京地裁は居眠りや日報の提出遅れ、期待を大きく下回る評価など服務・能力上の問題に対し注意や研修を繰り返したほか、本人希望も考慮し職場環境を替えたが改まらず、解雇は社会通念上相当とした。
異動希望にも対応 期待下回る評価で
筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)
事案の概要
労働者甲は、大学卒業後、企業に対する採用コンサルティングや学生に対する就職コンサルティング等に係る自営を営んでいた者であるが、会社(富士ゼロックス)の正社員の中途採用の募集に応募して、平成21年8月1日、正社員として入社した。甲の採用は、障害者雇用促進法所定の身体障害者等の雇用に関する事業主の責務等に基づくものであった。
甲は、銀座支店およびNB第三支店の営業職として勤務していたが、会社は、甲が、入社後における業績が極めて低く、かつ、再教育の結果でも改善されず、今後、会社での業務遂行に期待が持てないこと、勤怠不良等の職場秩序違反行為を多発させ、あるいは基本的就業ルールの違反、業務指示の未遂行を繰り返し、職場秩序を乱し、かつ、上司等から再三の注意を促すも反省の態度が見られず、また改善が行われないこと、業務指示等に対する不服従等の業務命令違反行為を多発し、また、業務の進め方等再三の説明、指示が行われても理解し実行することができていないこと、また職場の変更も実施し、環境改善を行ったが、会社の期待に応える改善がなされないこと等を理由として、社員就業規則17条2項「仕事の能力もしくは勤務成績が著しく劣り、又は著しく職務に怠慢のとき」に該当するとして甲を普通解雇した。
甲は会社に対して労働契約上の権利を有する地位にあることの確認等を求めて本件の訴えを提起した。本判決は、およそ以下のように判示して、甲の訴えを斥けた。…
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