阪神バス事件(神戸地裁尼崎地判平26・4・22) 障害理由に残業免除、会社分割後配慮なく継続要求 労働条件は黙示的にも承継
2014.08.11
【判決日:2013.04.22】
障害があるバス運転者が、会社分割に伴い障害に配慮した勤務シフトが打ち切られたのは不当として配慮の継続などを求めた。神戸地裁尼崎支部は、残業の免除などは労働条件として黙示的に合意され承継されると判示。不利益変更を伴う転籍に合意しても、承継に関する通知を怠るなど承継法の趣旨を潜脱しており公序良俗に反し無効とした。
変更合意でも無効 公序良俗に反する
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、阪神電気鉄道株式会社の従業員であって、排便・排尿が困難となる障害を有することを理由に、勤務シフト上の配慮を受けていた原告が、会社分割により同社のバス事業を承継した被告に転籍した後、被告において上記勤務配慮を行わなくなったことが、公序良俗に反するなどと主張して、被告に対し、従前どおりの配慮された勤務シフトに基づく勤務以外の勤務をする義務のない地位にあることの確認を求めるとともに、従前受けてきた配慮が受けられなくなったことなどにより、原告が精神的な苦痛を受けたとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円等を求めた事案である。
判決のポイント
(1)承継会社に承継される事業に主として従事する労働者に対しては、当該労働者の労働契約を承継会社が承継する旨の分割契約等における定めの有無、…異議申出期限日等について通知をしなければならず(労働契約承継法2条1項)…転籍に係る同意が得られたからといって…
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平成26年8月11日第2980号14面 掲載