Y1(機構)ほか事件(神戸地裁尼崎支判平25・7・16) 5年勤めた派遣先に直接雇用され更新1回で雇止め 解雇法理の類推適用できず
5年弱働いた派遣先に直接雇用された契約社員が、更新1回、1年9カ月での雇止めを無効と提訴。神戸地裁尼崎支部は期間の定めのない契約といえるかについて、雇用主が異なる派遣期間は考慮できず、解雇権濫用法理を類推適用する余地はないと判示。更新につき安易に発言しないよう管理職に注意しているなど雇用継続の合理的期待もない。
派遣期間は考慮外 継続の期待認めず
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、派遣労働者として4年9カ月の間Y1において派遣就労した後、Y1に直接雇用され、有期労働契約を締結した。その後1回、更新されたが、2回目の更新がなされることなく終わった(以下「本件雇止め」という)。直接雇用の期間は通算1年9カ月であった。Xは、解雇権濫用法理の類推適用により、本件雇止めには客観的に合理的な理由がなく無効であると主張して提訴した。
また、Xは、事業所所長のY2から、面談の席で性的関係について尋ねられたり、不倫のうわさを流布されるなどのセクハラを受けたり、うわさを信じたY1およびY2から、不当に本件雇止めをされたりして精神的苦痛を被ったと主張して、Yらに対し、慰謝料50万円の連帯支払いを求めた。
これに対し、Y1は、Xの直接雇用の期間が1年9カ月、更新回数1回にすぎないこと等から、解雇権濫用法理の類推適用はないなどと主張し、また、セクハラ主張に対しては、不倫のうわさがあったため、面談の席上、そのようなうわさが出ないようにしてもらいたいと述べたもので、不法行為は成立しないとして争った。本件判決はXの請求を棄却した。…
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