国・中労委(旧モービル石油・再雇用)事件(東京地判平25・10・30) 労組の合意なく再雇用制度の廃止は不当労働行為か 見解対立し交渉継続は困難 ★
2014.07.14
【判決日:2013.10.30】
定年後の再雇用制度が労組の合意を得ずに廃止され、不当労働行為救済申立てを棄却された労組と下部組織の分会連が、その取消しを求めた。高年法改正前の事案。東京地裁は使用者には労組の要求を受け入れたり、譲歩する義務はないとしたうえで、交渉を7回重ねたが対立したまま継続困難となったもので不誠実な対応とはいえないとした。
7回の協議経ても 正当な拒否理由に
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Y社は定年後再雇用制度を、平成11年1月1日付けで廃止するに際し、平成10年7月9日から平成11年1月19日までに7回にわたってX労働組合と団体交渉を行ったが、合意に至らなかった。
Xらは同年4月13日、福岡県地方労働委員会(当時)に対し、①Y社が再雇用制度について労働協約が事実上成立していたにもかかわらず、Xの合意なく同制度を廃止したことや、②Y社がXの下部組織のX労組分会連に団交の申入れをせずに同制度を廃止したことが、事実上の団交拒否に当たるとして、不当労働行為救済の申立てをした。
県労委は平成13年5月23日、救済申立てを棄却し、中央労働委員会も平成23年8月3日、再審査申立てを棄却した。
Xらは平成24年2月27日、東京地裁に救済棄却命令の取消しを求めて提訴した。
判決のポイント
Y社は、本件団交において、本件再雇用制度の廃止について、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら
ジャンル:
平成26年7月14日第2976号14面 掲載