国・中労委(シオン学園)事件(東京地判平25・5・23) 賞与の低査定は組合差別、救済申立て棄却され提訴 不利益取扱いの推認が可能 ★

2014.05.05 【判決日:2013.05.25】
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 組合員の賞与を低く査定したとして、労組が不当労働行為の救済申立てを棄却した中労委命令の取消しを求めた。東京地裁は組合員と非組合員は自動車教習所の指導員として働き、同質性を有する集団と判示。会社と対立が悪化した時期に考課分が100%に拡大し運用に恣意的な要素が入るなど、考課制度の合理性を欠き不利益取扱いと推認した。

考課分が100% 恣意的な要素あり

筆者:弁護士 緒方 彰人(経営法曹会議)

事案の概要

 原告らは、補助参加人(以下「本件会社」という)が経営する自動車学校の教習指導員のうち15人が組合員として加入する労働組合である。

 平成15年に原告組合員であるFが原告組合に加入したことを理由として賃金の増額を受けられなかったとして、本件会社に対し訴訟提起したことを皮切りに、原告組合が本件会社による不誠実団交を理由とする救済申立てを繰り返し行う(原告組合の主張が認められたものが多くあった)など、原告組合と本件会社の関係は悪化していった。このようななか、本件会社は、一時金の考課分(稼働考課と考課査定からなる)の割合を拡大し、平成16年から平成18年という短期間のうちに0に近い割合から100%にまで拡大した。しかし本件会社から考課の評価項目について一定の説明は行われたものの、各評価項目の具体的な点数の付け方や評価方法、評価基準は明らかにされなかった。また考課制度の内容や運用においても、稼働考課の対象業務についての遂行指示が全従業員に対し平等になされておらず、また考課査定の判断基準が明確でないなど、恣意性を許す要素が入っていた。…

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平成26年5月5日第2967号14面 掲載
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