東京都(M局職員)事件(東京地判平25・6・6) 3年で72回遅刻し部下に記録修正させたと停職処分 尽くすべき調査を怠り無効 ★
約3年間で72回遅刻し、部下へ記録の修正を指示したとして停職3カ月とされた都職員が、処分取消しなどを求めた。東京地裁は電車遅延などと区別がつかず日付や回数の特定が困難ななか、担当者らが漫然と遅刻と認定したことは職務上尽くすべき調査義務に反するとした。違法な処分を対外的に公表したことにより被った損害には賠償を命じた。
電車遅延など含む 日付や回数は不明
筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)
事案の概要
XはYの職員として採用され、平成18年4月よりM局A1営業所長に配属、平成21年2月にはA営業所長に任命され、同年7月まで勤務した。
平成22年、Yは、Xが平成18年4月1日より平成21年7月15日までの間に、少なくとも72回にわたり、電車の遅延などを理由として出勤時限に遅れたうえ、72回のうち71回について、部下の職員に指示して、出勤記録を出勤の表示に修正させたとして、停職3カ月の懲戒処分を行い、本件停職処分を行った事実と報道機関およびYのホームページ等に公表した(ただし、実名報道はなし)。
本件停職処分の事由としてYの認定したXの遅刻、出勤記録の修正指示については、以下のとおりである。
平成18年4月1日から平成21年7月15日までのXの出勤記録の状況は、出勤記録がないことを意味する「*」から出勤を意味する「○」に修正して入力されたのが88日(そのうち、Xの部下が入力した日が60日、残りは入力者が不明)、…
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