ニヤクコーポレーション事件(大分地判平25・12・10) 有期の運転手が正社員より賃金低く差別と差額請求 賞与や休日数の差は不合理
約8年半にわたり有期契約を更新したトラック運転手が、正社員と処遇に差があるのは違法として提訴。大分地裁はパート法8条の差別的取扱いの禁止は、契約を反復更新した者にも適用するとしたうえで、職務内容や転勤・出向の点で正社員と異なるとはいえず正社員と同視すべきパートに当たると判示。賞与額や週の休日数が異なり不当とした。
職務内容など同一 パート法の射程に
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
使用者である被告との間で期間の定めのある労働契約を反復して更新していた労働者である原告が、被告が契約期間満了前の更新の申込みを拒絶したことは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、被告は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされたと主張して(労働契約法19条)、被告に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、更新拒絶期間中の月額賃金や賞与、更新拒絶による慰謝料を請求した。また、被告が原告に対して短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パート法」という)8条1項に違反する差別的取扱いをしていると主張して、正規労働者と同一の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、正規労働者と同一の待遇を受ける雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、同項に違反する差別的取扱いによる不法行為に基づく損害賠償を請求した事案である。
原告の業務内容は、準社員ドライバーとして、タンクローリーによる危険物等の配送を行うものであり、会社には業務内容がほぼ同一の(所定労働時間が1時間長い)正社員ドライバーが存する。…
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