新和産業事件(大阪高判平25・4・25) 営業から倉庫業務へ配転、業務上必要なしの判断は 嫌がらせで不法行為を構成
総合職から運搬職への配転やそれに伴う降格に業務上の必要性はなく、一部賠償を命じた一審に対し原・被告の双方が控訴。大阪高裁は配転には退職に追い込むなど不当な動機や目的があったと推認。社会相当性を逸脱した嫌がらせで不法行為を構成するとした。総合職として賞与の考課査定をすべきで、裁判所算定額に基づき賠償の支払いを命じた。
退職へ追込む目的 前職種で賞与算定
筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)
事案の概要
Xは平成12年4月3日、医薬品、プラスチック等の専門商社のY社に総合職として入社して、大阪営業部で主に新規取引先を開拓する営業に従事し、平成16年4月1日、同部課長となった。
Y社はXに対し、平成22年11月30日、退職を勧奨したが、Xが拒否したため平成23年1月17日、大阪倉庫への配置転換を命じ、課長の職を解いた。そして、Xの同年2月分からの賃金を1月分の34万8238円から15万7438円に減額し、同年の夏季賞与として7万円(前年は39万800円)を支給した。
これに対し、Xは大阪倉庫への配転、課長解任が無効だとし、減額分の賃金、賞与差額分の支払い、違法配転による精神的苦痛の慰謝料100万円などを請求して提訴した。
判決のポイント
Y社は、Xが退職勧奨を拒否したことに対する報復として退職に追い込むため、又は合理性に乏しい賃金の大幅な減額を正当化するために配転命令をしたことが推認される。業務上の必要性とは別個の不当な動機及び目的によるものということができ…
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