北港観光バス(雇止め)事件(大阪地判平25・1・18) 68歳の高齢ドライバーを体力や糖尿病理由に雇止め 70歳程度まで継続する運用
体力低下や持病により68歳で雇止めされたバス運転手が、地位確認などを請求。大阪地裁は体力や健康に問題がない限り70歳程度まで継続する運用がなされていたと判示。事故を恐れ高齢者を減らす方針を決めたが、68歳で線引きした説明はなく、医師の診察を受けさせていないなど業務に耐えられないといえないとして請求を一部認めた。
医師の診察求めず 線引き理由が不明
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Y社は、旅客自動車運送事業等を業とする株式会社であり、A1およびB1営業所を設置している。Xは、昭和17年生まれの男性であり、平成13年頃から、Y社との間で、6カ月間ないし1年間の期間の定めのある雇用契約を複数回更新し、Y社のA1営業所でバス運転手として稼働してきた。
XとY社との間で直近に交わされた平成22年3月15日付雇用契約では、(1)雇用期間は平成22年3月21日から同年9月20日まで、(2)60歳定年とし、定年に達した従業員が希望する場合は、就業規則で定める選定基準に従い、65歳まで再雇用する。65歳以上は、個別に協議し決定する、契約更新する場合があり、更新は、①契約期間満了時の業務量、②労働者の能力、③勤務成績、態度、④従事している業務の進捗状況、⑤会社の経営状況のいずれかにより判断するとしていた。
Y社の就業規則でも定年および継続雇用制度について、概ね(2)のとおり定めていた。
Y社は、Xに対し、平成22年8月10日付「雇用契約終了の予告通知」(以下、本件通知)により、本件雇用契約を更新しない旨を通知した(以下、本件雇止め)。…
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