東芝ライテック事件(横浜地判平25・4・25) 事業所の閉鎖予定し更新はないと再三説明したが… 不更新条項 契約終了の合意でない
事業所閉鎖の予定から不更新条項付きの有期労働契約を締結し、期間満了で合意退職とされた期間工が地位確認を求めた。横浜地裁は、契約書に署名押印しても契約終了の明確な意思を有しておらず雇止めに当たると判示。解雇権濫用法理を類推適用し、契約終了の旨を再三伝えられるなど雇用継続の合理的期待の程度は高くなく、雇止めを有効とした。
署名や押印しても雇止めは有効だが
筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)
事案の概要
Xは、Y社に有期社員として入社したが、事業譲渡に伴いA社と同一条件で契約を締結するようになり、期間を3カ月とする契約更新を繰り返していた。勤続年数は通算19年、更新回数は76回(うちA社では43回)であったが、XとA社は、平成23年7月1日付けで「今回をもって最終契約とする」との記載のある労働契約を締結し、同年10月1日以降は、更新がなされなかった。
Xは、本件は合意による終了ではなく、雇止めであり、解雇権濫用法理の類推適用により許されないと主張して、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位確認の訴えを提起し、また、長年、低賃金で不安定な雇用を継続してきた挙げ句に雇止めしたことが、A社および代表取締役による共同不法行為に該当すると主張して、会社と同取締役を被告として、連帯して慰謝料100万円を支払うよう求めた。なお、その後、A社はY社に吸収合併され、Y社が訴訟を承継した。
判決のポイント
1 労働契約の合意終了の有無
労働契約を終了させる合意があったと認めるためにはその旨の労働者の意思が明確でなければならない。…
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