ライフ事件(大阪地判平23・5・25) うつ病の休職期間満了で退職扱、労災認定受け提訴 解雇制限を類推適用し無効
うつ病の休職期間満了後に退職扱いした元従業員が、労災認定を受けて労働契約上の権利を有する地位にあることの確認などを求めた。がん転移の不安から発症したとする会社に対し、大阪地裁は過重労働の業務起因性を認め、労基法の解雇制限を類推適用した。安全配慮義務違反で慰謝料支払いを命じたが、治ゆしないのは基礎疾患が寄与したと推認し3割を減額した。
安全配慮義務怠る 基礎疾患で3割減
筆者:弁護士 牛嶋 勉(経営法曹会議)
事案の概要
被告Y社は信販業を営む会社であり、原告Xは昭和59年に入社した従業員(悪性腫瘍発症当時、32歳)である。Xは、平成14年4月から、破産・弁護士介入債権案件係において、自己破産、債務者方への弁護士介入案件について、調停・和解等を相手方弁護士と行う業務を担当していた。また、X所属の係では、別の部署への債権の引継ぎ・移管作業を行っていたが、業務量に対して人員が少なく、移管作業は負担が大きな業務であった。Xの本来の業務はたまる一方となっていた。
平成14年7月、Xは突然めまいに襲われて出勤できず、内科医院Aクリニックを受診し、自律神経失調症と診断された。また、B大病院の神経科精神科では「うつ病(抑うつ状態)」と診断された。Xは、同年8月頃から心療内科・神経科の専門医院Cクリニックを受診し、自律神経失調症により休養加療が必要と診断され、退職通知を受けた時点においても継続加療を要する状態にあった。
Xは、未消化振替休日、年休40日、復活年休50日、有給欠勤10カ月を経て、平成15年9月から24カ月の休職扱いとなった。
Y社はXに対し、休職期間満了により退職となる旨を通知し、Xを平成17年10月をもって退職したと取り扱った。…
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