立命館(未払一時金)事件(京都地判平24・3・29) 14年間同じ賞与月数を1カ月引き下げられ差額請求 支給基準は労働契約の一部
14年間も継続した賞与6.1カ月を1カ月減額された教職員らが、労使慣行が成立しているとして差額を求めた。京都地裁は、労使交渉での言動や支給実績から使用者に少なくとも年6カ月を支払う規範意識があったと判示。その範囲で労働契約の内容となっていたとしたうえで、良好な財政状況や生活給的な性格を踏まえ、減額の合理性はなく6カ月の範囲で請求を認めた。
使用者に規範意識 減額の合理性なし
筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)
事案の概要
本件は、被告の教職員である(またはあった)原告らが、被告が一時金(賞与)として、給与月額の6.1カ月分および10万円(以下「本件基準額」)を支給していたところ、平成17年度ないし19年度の一時金を「年5.1カ月+10万円」で支給したことにつき、一時金を本件基準額とすることが具体的請求権として労働契約の内容となっており、本件一時金額とする不利益変更は無効であること、誠実交渉義務違反に当たることを主張して、被告に対し、労働契約または債務不履行に基づき、差額を請求した事案である。
給与規程は「賞与及び臨時手当を、予算の範囲内で、理事長が定める要領により支給することができる」となっている。昭和57年から平成16年までは労使協定を締結して一時金を支給していた(平成3年度から16年度までの妥結額は本件基準額)が、17年からは妥結に至らず学校側の決定した一時金を支給していた。
判決のポイント
(1)本件基準額とする労働協約が14年間にわたって締結され、それに基づいて一時金が支給されていたとしても、その旨の労使慣行が成立していたとはいえない。…
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